GPSと徘徊老人システムについて

 

氏名:小田元子

日付:平成13年2月27日(火)

 

1.初めに

報告内容

 GPSを使用した徘徊老人システム製品の概要。

動機

 私が始めて徘徊老人システムを知ったのは日立のテレビCMでのことだった。そのCMの内容は、老人が現在何処でどのような状態に有るのかを家人がパソコンを通じて知ることが出来るというものだった。

 私は老人ホームからいなくなった老人が凍死した事件や、何日も経ってから保護されたという事例を聞いたことがある。高齢化が進む社会で今後そのような事件は増加するのではないだろうか。そこで、このシステムが役立つのではと考え調べてみることにした。

目次

GPSとは.. 1

GPSを利用した徘徊老人システム製品及び研究..... 2

位置・状態認識システム「Partout(パルトゥ)......... 2

介護支援システムK-discovery.......... 3

まいご老人保護システム.............. 4

 

2.GPSと徘徊老人システムについて

GPSとは

 Global Positioning System の略。

 米国国防省が打ち上げた測地衛星(NAVSTAR:現在は24個が地球を周回している)の発信する電波(1.22760G/1.57542GHz)を受信することにより、受信者の地球上での位置(経度/緯度)を知るシステムのこと。カーナビゲーションなどで利用されている例が有名である。

 通常、地上からは昼夜にかかわらず、4〜12個の人工衛星(NAVSTAR)が見えており、それぞれから発信される電波の位相(受信タイミングの違い)を計算し、受信者と人工衛星の間で三角測量を行なうことで位置を調べる。1回の測定誤差は、30〜100m程度である。

 最近では、より正確な測地を実現するために、人工衛星からの電波と地上波(300KHz程度)を利用したDifferential GPS(DGPS)なども登場している。日本では携帯電話用の電波帯域を利用したシステムが、1996年から運用されている。DGPSの測地誤差は10m以内となる。

 

GPSを利用した徘徊老人システム製品及び研究

 各社の徘徊老人システム製品及び研究を以下に紹介する。

位置・状態認識システム「Partout(パルトゥ)

 この課題を調べるきっかけとなった、日立製作所のGPSと携帯端末を使用した徘徊老人システム製品。

@システムの概要と機能

Partout」は、専用ソフトウェアをインストールしたパソコン上で、専用端末を持った

利用者の位置や状態を認識することができるシステムで、専用端末は、携帯電話とGPSを組み合わせており、広いエリアをカバーし、数メートルから数十メートルの精度で利用者の位置を検知することが可能。

 また、専用単末には体動センサーが内蔵されており、端末を装着した対象者の状態(歩く・走る・立ち止まる・倒れる)を、パソコン上でリアルタイムに把握することができる。

 地図データは、全国エリアを縮尺1/6250でカバーしているIncrementP社製の「MapDKクライアントマップ」を採用しており精度の高い探査が可能。

 トライアル(*1)の結果を踏まえ、端末の軽量化、省電力化を図るとともに、探査プログラムの機能を拡張し、「走る」状態認識の追加や対象者の情報を定期的に取得する定間隔探査機能、対象者が倒れた状態が続いたり、専用端末の緊急ボタンを押すと、緊急事態として自動的にセンター側(*2)へ緊急メッセージを通知する機能などをサポートしている。

 (*1)日立製作所は、平成10年7月に位置・状態認識システムのプロトタイプを開発し、同年8月から千葉県我孫子市、11月から山口県周防大島などで徘徊症状のある高齢者の探索システムの共同トライアルを行なっている。トライアルは、自宅で徘徊症状のある高齢者の方の介護に従事されているご家族の了承の下に、同社で開発した位置・状態認識システム専用端末を対象者に装着し、24時間体制で遠隔地から対象者の位置や状態を確認するものである。

 (*2)このような介護システムは個人で所有するには大変高価であるので、通常は自治体や警備会社などがソフトウェアや専用端末、パソコン等を購入し、一般の人はその会社、団体から専用端末をレンタルし、介護サービスを受けるという様になっている。ここでいう「センター」とはそのサービスを行っている会社や団体のことである。

 

A必要な機器

 区分

品名

数量

価格

センター

パソコン

1

 

センター

モデム

1

 

センター

Partout(ソフトウェア)

1

5,000,000円〜

センター

地図ソフト(インクリメントP社製)

1

100,000円

対象者

専用端末

必要台数分

248,000円

対象者

携帯電話

必要台数分

 

 

介護支援システムK-discovery

株式会社インターメディア社の製品。

@システムの概要

 「K-discovery」は位置情報検索及びセキュリティー機能を介護の分野に応用した介護支援システムで、「徘徊老人」や「子供」の移動体をGPSを利用して、現在位置をパソコン画面上でリアルタイムに確認するシステム。PHSの位置情報サービス(*3)とは異なり、GPSを利用しているので、全国の広範囲で導入が可能。

 移動体(徘徊老人)は、専用の収納ベストに携帯用のGPSシステムと携帯電話を収納して、基地局(介護支援者)のパソコンに携帯電話を経由して現在位置を送ります。自宅から半径500m以内など、移動体があらかじめ設定していた範囲を超えるとパソコン画面上はもちろん、ポケットベルなどでの警告を行うこともできる。また最寄りの施設に対し移動体の顔写真などをFAXでのデータ送信を行うことも可能。

 (*3)位置情報サービスにはGPSの他にPHSの中継器を利用したものも有る。GPSのものと異なり専用端末が小さいのが利点だが、利用できる範囲が狭いのが難点。

Aシステムの主な機能

リアルタイム検索    基地局になる家庭や基地局では、Windowa95・98対応のパソコン・ノート型パソコンに『K-discovery』・『ProAtlas/地図ソフト』をインストールすることで、リアルタイムに移動体の位置情報を地図上で確認できる。検索エリアは携帯電話の通話エリアなら、日本全国どこでも移動体の位置情報等をリアルタイムにモニター画面表示可能。

自動交信検索    :予め設定した間隔で位置情報を収集することが可能。

定時検索      :予め設定した時刻に位置情報を収集することが可能。

グループ検索    :グループ別に位置情報を収集することが可能。

協力団体検索    :緊急時に最寄りの協力団体を検索することが可能。

エリア外警告    :エリア外に移動体が移った場合、「エリア外警告」を基地局のモニターに表示する。

緊急通信      :「エリア外警告」を受けた移動体と優先的に交信をリアルタイムで開始する。

応援要請      :最寄りの「福祉施設」・「警察」等に移動体の特徴や位置情報をFAX送信することが可能。

軌跡確認      :地図上に軌跡を表示させることが可能。又、各軌跡ごとに日時(例:1999.05.20.14:22:37)を表示することが可能。

軌跡再生      :任意の移動体の軌跡データを再生させることが可能。又、再生速度を1〜12倍速で表示させることが可能。

軌跡保存      :全ての軌跡データを移動体別に保存させることが可能。

データ通信課金  :データ通信料を表示する。

協力団体位置設定:最大1000件の協力団体を地図上に設定することが可能。グループ別(最大8グループ)も可能。

軌跡収集設定    :移動体とGPSとの交信時間を1秒〜1時間の間で設定可能。(全移動体固定)

軌跡収集設定    :移動体とGPSとの交信時間を1秒〜1時間の間で設定可能。(各移動体別)

自動交信時間設定:基地局と移動体との交信時間を1秒〜12時間の間で設定可能。(全移動体固定)

自動交信時間設定:基地局と移動体との交信時間を1秒〜12時間の間で設定可能。(各移動体別)

定時交信時間設定:基地局と移動体との交信時刻を設定可能。(1日12回)(全移動体固定)

定時交信時間設定:基地局と移動体との交信時刻を設定可能。(1日12回)(各移動体別)

グループ設定    :グループごとに各設定(顧客設定、軌跡設定、自動更新時間設定、定時交信時間設定)を行うことが可能。(最大8グループ)

 

B必要な機器

区分

品名

基地局側

パソコン(win95or98)

基地局側

K-discovery(ソフトウェア)

基地局側

プロアトラス(地図ソフト)

基地局側

モデム

移動局側

GPSアンテナ

移動局側

GPSセンサー

移動局側

携帯電話

 

まいご老人保護システム

 平成7年度から10年度までの3年間、地域産学官共同研究事業として 新潟県工業技術総合研究所、新潟大学、 長岡技術科学大学、清水工業梶A愛宕商事梶A潟tロンテックスで開発されたシステム。

@システムの概要

 徘徊する老人に、GPSとPHSからなる移動局を装着し、介護家庭の固定局から呼び出しその位置を地図上に表示するシステム。保護移動局により、まいご老人の位置を屋外で移動しながら把握することも可能。まいご老人の位置は、デファレンシャルGPS方式により、精度よく把握することができる。

Aシステムの主な機能

地図表示      :移動局から取得したGPS情報から位置情報等を検出し、固定局パソコンの電子地図上にまいご老人の位置を表示する。

保護移動局      :介護家庭に設置した固定局でまいご老人の位置を把握しても、その場所へ行く間にまいご老人が移動する可能性がある。携帯可能な保護移動局の使用により、移動局と通信を行い、まいご老人の位置を把握する事が可能。保護移動局はGPSを搭載しているため、保護する人も自分の位置を把握することができ、不慣れな場所でも、まいご老人の位置と自分(保護者)の位置を正確に把握することが可能。保護移動局より小型の簡易保護移動局もある。

デファレンシャルGPS:GPSの単独測位では100m程度の誤差が含まれるため、デファレンシャルGPSを使い、まいご老人の位置を10m程度の誤差に収まるよう、より正確に把握出来る。

異常行動監視機能:ある範囲を設定し、まいご老人がその範囲を超えたら、介護者にそのことを知らせる機能。時々痴呆の症状が出る人に有効。

B必要な機器

区分

品名

備考

固定局側

パソコン(win95)

 

固定局側

TA(ISDN対応)

 

固定局側

(PIAFS対応PHS)

 

固定局側

(保護移動局)

携帯型パソコン、カード型PHS、GPSで構成

固定局側

(簡易保護移動局)

GPS、PHS、方位センサ、制御用マイコン等で構成

移動局側

移動局

GPS、PHSを組み合わせた機器

 

3.まとめ

報告したこと

GPSとは何か。

日立製作所の徘徊老人システム紹介。

株式会社インターメディア社の徘徊老人システム紹介。

新潟県工業技術総合研究所、新潟大学、 長岡技術科学大学、清水工業梶A愛宕商事梶A潟tロンテックスにより開発された徘徊老人システム紹介。

分かったこと

GPSを利用した徘徊老人システムの概要及び利用方法。

同システムの利用にかかるコスト。

同システムの機能及びその応用方法。

分からなかったこと

GPSを利用した徘徊老人システムを使用される対象者のプライバシーの問題に付いての解決策。

徘徊老人の異常を察知した時の同システムサービス提供側の対応等。

同システムが老人介護や要人保護、迷子の保護以外の目的(ストーカーなどの犯罪目的)に利用される可能性も否定できないと思うが、その予防法や対処法はあるのか。

今後の課題

前述した、プライバシーの問題について今の所解決策を見つけること。

専用端末の小型、軽量化及び携帯電話、PHS無しに通信を行う方法。または携帯電話、PHSの通信料金の値下げ。

システムに必要な機器のコストダウン。

 

4.参考文献

アスキー デジタル用語辞典

http://www.ascii.co.jp/ghelp/

日立製作所HP

http://www.hitachi.co.jp/index-j.html

株式会社インターメディアHP 介護システムK-discoveryのご案内

http://www.iris.dti.ne.jp/~intermda/gps_kaigo.htm

新潟県工業技術総合研究所HPまいご老人保護システム

http://ns.iri.pref.niigata.jp/research/Stray/main.htm